Security NEXTでは、最新の情報セキュリティに関するニュースを日刊でお届けしています。

ネットバンキング利用者を狙う「DYRE」が拡大 - アジア地域も浸食中

オンラインバンキングのユーザーを狙った不正プログラム「DYRE」が増加しているとして、複数のセキュリティベンダーが注意を呼びかけている。

同プログラムは、マンインザブラウザ(MITB)攻撃によって個人情報を盗み出すマルウェア。感染したパソコンから攻撃対象の金融機関へアクセスすると、サイトに誘導して情報を詐取する。また悪質なコードを追加する機能も備えており、表示を改変したり、別の偽ページを表示するケースもある。

20150630_tm_002.jpg
DYREの推移(グラフ:トレンドマイクロ)

従来、被害の中心となっていた「Zeus」「Shylock」「Ramnit」などの動きが落ち着く一方、「DYRE」は勢力を拡大。トレンドマイクロの調査によると、2015年第1四半期は前四半期から125%増と2倍以上にのぼる。

感染地域を見ると、これまではおもに北米やヨーロッパのユーザーが被害対象で、過去3カ月の感染状況を見ると、ヨーロッパが39%、北米が38%。アジア太平洋地域は19%にとどまる。

その一方で、5月第1週に「DYRE」が添付されたメールが数千件確認された際には、44%がアジア太平洋地域に集中するなど、警戒が必要な状況だ。

感染経路は、メールが中心となっており、添付ファイルをクリックすると不正サイトに誘導され、ダウンローダーである「UPATRE」がインストールされ、最終的に「DYRE」に感染する。

また「DYRE」に関しては、オンラインバンキングの被害に限らず、マルウェアの多重感染にも注意が必要だ。シマンテックによると、7種類の異なるマルウェアを確認したという。多くのケースで、感染パソコンはボットネットに組み込まれ、攻撃の踏み台となっていた。

(Security NEXT - 2015/06/30 ) このエントリーをはてなブックマークに追加

PR

関連記事

12月は「金融犯罪撲滅推進月間」 - 全銀協が啓発活動
オンライン不正送金被害額、前四半期から約4割増
巧妙化続くサポート詐欺、窓口相談は前年度の約1.6倍
都立高講師が「サポート詐欺」被害 - 端末内部に生徒情報
バックアップ磁気テープを紛失、機器に入れたまま廃棄か - 岩手銀
「りそな銀行」かたるフィッシング攻撃の報告が増加
2024年1Qのオンライン銀不正送金、被害額が大幅減
子会社元従業員、ネットバンク経由で3.5億円を横領 - ホッカンHD
「サポート詐欺」で1000万円の被害 - ネット銀を遠隔操作
2023年4Qの不正送金、減少するも高水準 - 平均被害額は大幅増