2019年2Q、標的型メール攻撃75件 - 約7割がプラント関連
サイバー情報共有イニシアティブ(J-CSIP)が、2019年第2四半期に把握した「標的型攻撃メール」は75件だった。プラント関連事業者を標的としたものが52件と7割を占めている。
情報処理推進機構(IPA)が、同四半期におけるJ-CSIPの運用状況を取りまとめたもの。J-CSIPは、サイバー攻撃の被害防止を目的に組織間で情報を共有する取り組み。2011年10月に発足した。
同四半期は、エアポート業務分野で1組織が加入して6組織となる一方、石油業界では組織改編にともない7組織から6組織となった。13業界249組織と、水道業界9組織、医療業界4団体で連携している。
同四半期に参加組織から寄せられた不審メールの情報提供は424件。前四半期の238件を166件上回った。
このうち「標的型攻撃メール」と判断したものは75件。約7割に相当する52件がプラント関連事業者を狙ったものだという。J-CSIPでは、IPAが独自に入手した16件を含む54件について情報共有を実施した。
プラント関連を狙った攻撃は、これまでと同様、おもにプラント設備や部品のサプライヤーに対して展開されており、実在すると思われる開発プロジェクト名や事業者名を詐称していた。
具体的には、メールでプラントに使用する資材や機材の提案、見積もりなどを偽装。さまざまな文面のバリエーションが確認されている。
攻撃の具体的な目的は不明。知的財産などの窃取やビジネスメール詐欺(BEC)における準備段階の可能性があり、引き続き注意が必要だ。
さらに具体的な内容は記載せず、「緊急の取引について話し合いたい」といった記載にとどめたメールも確認されている。
問題のメールに添付ファイルやリンクの記載はなく、同メールを通じてマルウェアへ感染することはないが、受信者の氏名などが記載されており、事前に取得した情報をもとに送信されていることはまちがいない。
メールへ返信してやりとりを行うと、情報が収集されたり、詐欺や標的型攻撃などに発展するおそれもある。
また同四半期には、4件のビジネスメール詐欺が確認された。いずれも英文のメールで、そのうち1件で金銭的な被害が発生している。
(Security NEXT - 2019/07/29 )
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